- 質問しても「わからない」と言われてしまう
- コーチングの質問集が知りたい
- 質問のスキルってどう使えばいいの?
そんな悩みに答えます。
今回はコーチングの質問スキルを上手く使う実践例と、今すぐ使える質問リストを紹介します。
実際のやり取りをもとに解説しているので、だれでも簡単に質問のスキルを使えるようになります。
私もこのスキルを使って、相手自身も気づいていない本当の思いや、やる気を引き出したり、クライアントが望む成果を生み出してきました。
では、その方法を解説していきます。
何を聞いても「わからない」しか言わない
「わからない」という言葉はとても便利な言葉です。
なぜなら、考えていなくても「わからない」と言っておけば大丈夫だから。
または、本当にわからない時もあるよ!という場合もあるでしょう。
しかし、そこで効果的なのが質問のスキルになります。
このスキルを使うと、本人でさえ気づいていなかった思いや考えに気がつくこともできるのです。
まず、「将来やりたいことが何もない。何に興味があるのかもわからない人」という状況で解説します。
質問スキル① やりたくないことや嫌なことは何?
「好きなことは?」ではなく「やりたくないことは?」と聞くことで、やりたいことのヒントが見えてくるのです。
ほぼ実際の会話の例をご紹介します。
「やりたいことがないんだね?それじゃ、逆に絶対にやりたくないことは何かな?」
「うーん、やりたくないこと?ごみを収集する仕事とかは嫌だなぁ」
「ごみ収集の仕事が嫌なんだね。」
「他には?」
「そうだな、人と関わる接客とかも苦手かも~」
このように、嫌なこと・やりたくないことをテーマに深掘りすることで、会話が活発になります。
そこで「ごみ収集が嫌で、接客が苦手なんだね。それじゃ、工場で働くのはどう?きれいな環境だし、接客もないよ。」と提案してみると
「えー、工場ですか?そんなに好きじゃないけど、何か作ったりするのはいいかもなぁ」
「何か作ったりするのが好きなんだね」
この時は「工場≒ものづくり」と連想され、少し興味があるものが引き出されたようです。
これは「やりたくない」という話しやすいテーマから話を切り出し、コーチが傾聴しながら話を受け取っていったため、
コーチからの提案を素直に受け入れ考えられたからこそ、自分のやりたいことが引き出されたのです。
この会話がきっかけとなり、彼は工業系の学校に進学をすることになりました。
実際の会話はもう少しごみ収集や接客の何が嫌か深く聞いていますが、やりたいことがない人でも、やりたくないことはすらすら言えることが多いのです。
「好きは抽象的、嫌いは具体的」という言葉があるように、嫌いなことや、やりたくないことをテーマにすると人は考えやすくなるのです。
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質問スキル② チャンクダウンしてみよう
チャンクダウンとは物事や課題をより具体的に小さくすることを言います。
これを質問に活かすのです。
たとえば、「最近、調子はどうですか?」と聞かれるより
「仕事の調子はどう?」→「A社との取引はどう?」→「A社の社長との関係はどう?」→「その社長との関係をより良くするためには何ができる?」とより具体的に聞かれた方が、答えやすいのです。
このように、質問の焦点を大きなかたまりから、徐々に小さくすることで、考えやすくなります。
実際の例をもとに解説します。
まだ取り引きのない会社の社長に営業したいけど、どうしたら良いかわからない営業マンがいました。
「その社長とどんな関係になりたいですか?」
「まず話を聞いてもらえる関係をつくりたいです。」
「そっか、話を聞いてもらいたい関係を作りたいんですね。それじゃ、話を聞いてもらえるためにはどうしたら良さそうですか?」
「そうですね。いつも忙しそうにしているから、社長が忙しくない時間帯に行ってみようかな。」
「どの時間帯が良さそう?」
「それが、わからないんですよね…。どうしようかな。そうだ、従業員に聞いてみます!」
このあと「社長は朝が早い人で、早朝6時くらいならゆっくり話せる」という情報を得たこの営業マンは、実際に6時に会いに行きました。
すると、社長もまさかそんな早く来ると思っていなかったみたいで、彼の熱意が認められたのです。
その後、ライバル企業への不満があった社長の悩みを聞き出し解決することで、大きな取引に結び付くことができたのです。
このように、大きなかたまりから、徐々に課題を具体的に小さくすることで、今するべきことが明確になります。
その結果、行動に移しやすくなるのです。
質問スキル③ あなたが尊敬する人だったらどうすると思う?
「どうしたらいいかわからない」と思考が止まってしまった人に、
「あなたが尊敬する人だったらどう思う?」と聞くことで、自分では気づけない発想を生み出すことができます。
たとえば、どうしたらいいか経営について悩んでいる社長に
「あのスティーブジョブズならどうすると思いますか?」と聞くと、「えーと、彼ならこうするんじゃないですかね…」と簡単に答えたりするのです。
あれだけ「どうしたらいいんだろう…」と悩んでいたのにもかかわらず、あまりにも簡単に答えるので
「もう最初からそれをやればいいじゃん!」って何度も思ったことがあります(笑)
これは紛れもなく本人が考え出したものです。
このアイディアを膨らませたり、深堀することで、行動を促すことができるようになります。
さらに、相手が尊敬している人がいる場合であれば「あなたが尊敬している人ならどうすると思いますか?」と聞くとより効果的です。
「あなたは?」と聞かれると考えられないのに、本人を扱わなければ、意外と考えられたり、可能が開けたりするのです。
質問スキル④ 「なんで?」ではなく「何があったの?」
「何があったの?」と聞くことで、建設的な会話につながり、やる気を引き出すことができます。
たとえば、お客さんとトラブルになった皆さんが、「なんでトラブルになった?」と上司から聞かれたらどう感じますか?
怒られそうな気がしませんか?
状況によっては、自分が悪くないように少しごまかす場合もあるのではないでしょうか。
普段から高圧的で怖い上司ならなおさらだと思います。
すると、何が起きたのか事実が上司に伝わらず、適切な解決策も見つからなくなってしまうのです。
このように「なんで?」という聞き方は、高圧的で批判されている印象があり、言い訳を引き出し、解決策も生まれないのです。
しかし、「何があった?」と聞かれたらどうでしょうか?
責められている感じがせず、何を言っても怒られない感じがします。
部下も正直に言いやすいのです。
そして、事実も明らかになるので、適切な解決策も検討できます。
さらに、怒られたり否定されたりすることなく、解決策を一緒に考えてくれる上司だったら、「この上司についていきたい!もっと頑張りたい!」とやる気も出ます。
さらに、いろんなことにチャレンジもしようと思えるのです。
このように、「何があった?」という質問は、建設的な会話になり、やる気も引き出されるのです。
「なんで?」に関する詳しい内容はこちら>>「なんで?」はやる気を奪う。やる気を引き出す質問スキルを参考にしてください。
その他の質問リスト⑤~⑨
- 質問スキル⑤ どうしたらできると思いますか?
- 質問スキル⑥ 達成出来たらどんな気持ちになりそうですか?
- 質問スキル⑦ いつ、どこで、だれと、何を、どのようにやりますか?
- 質問スキル⑧ 他には?
- 質問スキル⑨ もし、なんでもできるとしたら、どうしますか?
これらはオープンクエッションと言われる質問であり、相手が自由に答えられるのが特徴です。
相手の可能性を引き出すことができるコーチング的な質問です。
どれも汎用的で使いやすものばかりです。
上手くいかない質問
- 質問のスキルを学んでいるけど、全然上手くいかない。
- コーチングって使えないじゃん!
このように思ったことありませんか?
実は、質問のスキルだけ身につけても上手くいかないのです。
なぜなら、どんなに完璧な質問を投げかけられたとしても、それが嫌いな上司やいつも否定ばかりする人からだったら、素直に答えるのが難しくなるからなのです。
「どうせまた否定される。」
そう心を閉ざしてしまった相手には、質問のスキルなんて通用しません。
では、どうしたら良いのか?
解説します。
聴くことからはじめよう
まず、聴くことからはじめましょう。
なぜなら、人は話を聴いてくれた人だからこそ、その人の話を聴こうとするから。
たとえば、皆さんが素直に話を聴くことができる人はどんな人ですか?
それは、皆さんが人として好きな人ではありませんか。
そして、その人は皆さんの話をちゃんと聴いてくれる人だと思います。
つまり、皆さんの話(質問)を素直に聴いてもらうためには、まず普段からちゃんと相手の話を聴いていなければならないのです。
人は話を聴いてくれる人を自分の良き理解者と感じます。
だからこそ、私たちは相手の話を聴くことからはじめなければなりません。
質問のスキルをいかすためには傾聴のスキルも身につける必要があるのです。
その結果、質問のスキルの力が十分に発揮されます。
ぜひ、質問のスキルを使って、相手の力をどんどん引き出してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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